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我々は調布から中央高速道に乗り、山梨方面に向かった。車内では彼は終始無言であった。
重苦しい空気が漂う。彼は今日私にあったことを後悔しているのだろうか、それとも、私に
ホテルに連れ込まれるのとでも思っているのだろうか。もちろん、私はホモではない。
 車が相模湖インターまであと2キロの標識に差し掛かったころ、彼が久々に口を開いた。

「大月のジャンクションから河口湖方面に向かってくれ。」

 道路は空いていた。河口湖のインターで降りて、我々は河口湖の湖岸道路をぐるりと回った。
東京・調布から1時間強、ここは東京の喧燥とはまったくの別世界であった。地方の温泉旅館街、
という表現がぴったりだった。ただ、湖岸道路の奥の方にはオシャレなペンション村があるらしく、
かわいらしい形をした建物の屋根がちらりと覗かせていた。

「河口湖って、東京から案外近いんですねえ。」
「でも景色はだいぶ違うよな。旅に来たって気分だ。ところで、お腹すいてないか?」

「いえ、調布で食べたばかりなので・・・。」

「あんなハンバーガーだけじゃ腹一杯にならないだろ。そういえば、ほうとうのうまい店があったよなあ。
 あ、山中湖の方だったかなあ。」

 この男はとことん私にたかるつもりである。ほうとうだけ食べるのであれば新宿にもいくらでもほうとう
料理の店はあるのに。

「あ、あそこにありますよ。あそこでいいですか?」

「ああ。」

我々は車を降りた。
 

ほうとう屋はかなり混んでいた。民芸風の作りで、中は、旅館の大広間で食べさせられているような
雰囲気の店であった。

「いやあ、うまそうだ。このかぼちゃがいいんだ、これが」
 

彼はどうも満足している様子である。ほうとうぐらいで満足してもらえるのであれば安いものだ。
ここで、再び重い口を開き始めた。
 

 「学生時代はよかったよなあ」

 彼は今度は学生時代の自慢話を始めた。彼は学生時代はアウトドアサークルと称すいわゆるナンパ
サークルに属していたようだ。そこで彼は有名大学の学生であることを武器に何人もの女性を喰ったよ
うだ。

「学生時代は合コンなんてしょっちゅうやってたよ。」

「予約なんて10人で8000円のコース頼んで、会費は一人3000円取って稼いだりとかさあ」

「日本酒で一気だーとか言ってさあ。俺達は密かにバイトしてる連れに頼んで俺達だけ水にし
 といてさー。女をヘロヘロに酔わせてやっちゃったりとかね。それから・・・・」

 
彼の学生時代の自慢話は延々続いた。  いずれも女をだましてやったとかそんな話ばかりであった。
僕はいい加減にいやになってきた。
 

「それで・・・。就職してからの話をしてくださいよ。」
 

「ああ・・・・。就職してからか・・・。ううん。」

就職してからの話を振ると急に口が重くなった。

「いやあ。就職してからまず研修をしたんだよなあ。」